静岡県三島市平田にあるいのうえ内科・リウマチ科です。関節炎疾患・膠原病疾患等でお悩みの方はぜひご相談下さい。

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リウマチの不思議な治療方法

リウマチの不思議な治療方法

開業し関節リウマチ診療を主で行い、早8年近くが経過します。そろそろ私がどこで仕事をしていたか判らなくなり、J大や医療センターのSM大のほうがもてはやされている気がするのはやっかみでしょうか(笑)

さて、久しぶりにJ大のクレーム対応でした。しかも、担当医は、平素からあまり悪い印象のない先生でした。一体何が悪かったのか、良い先生なので、余計に興味を持ち患者さんの話を傾聴しました。

患者は医療従事者でした。11月末にJ大初診。当院には12月13日来院。抗体値は高いけど炎症反応も所見も地味でした。なのにプレドニゾロンを10mg処方し、すぐ7.5mgに減量してメトトレキサートを併用開始、メトトレキサートの効果を確認する前に、生物学的製剤の説明をして同意書にサインをさせて、そんな高額な医療は受けられないと患者がごねると限度額制度の書類を作らせる段取りの良さ。

段取りが良い事を誉めているのではなく、寧ろこの手の段取りの良さは誉めてはいけない。

関節リウマチと診断したら、男たるものステロイドで逃げの手を打たず、メトトレキサートをさっさと処方するだろう。メトトレキサートの血中濃度の上昇は2週間から8週間で、その間痛み止めとか処方して、治療はシンプルに進めていくものだろう。普通のリウマチですぐに命を取られる事は無いのだから、そんなに慌てて処方内容をコロコロ変更し、患者に恐怖を煽る必要はないだろう。どうしたんだ?J大外来に従事した事があるが、あまりこの様な治療展開だったカルテを私は見た事がない。

ちょっと考え対応。多分論文でも作りたかったのか。J大は大学病院だし、研究機関だし、製薬会社からSLEのBIO製剤でもスタディをやるために沢山処方していたと聞いたことがある。でも、リウマチでなんのスタディをするのだ?次にその患者さんが来院したら聞いてみようと思うが、生物学的製剤はなんだったのか。プレドニンを10mgも処方し、畳みかけるようにメトトレキサートを処方し、すぐにBIO製剤を処方し、何を目指していたのか。多分、そんな攻め攻めの対応をする目的は『臨床的寛解』を作る事だろう。そう、私が大嫌いなインチキフレーズである『臨床的寛解』。たった2年間ではなく、是非10年間追跡で研究をして欲しい、『臨床的寛解』。10年まで見れば『臨床的』寛解率は間違いなく0%に向かっていく筈のインチキフレーズ。そうかもしれないし、違うかもしれないし、間違えていたら本当にごめんなさい。

研究をする事が悪いとは言わないが、思ってしまう事がある。強引にでもスタディを作り、研究をし、論文を作るようにしないと確かに大学病院では生き残れない。それは自分が大学病院にいたからよーくわかる。しかし、実臨床に沿っていない論文は後世で必ず廃れている。

しかし、その為に、普段の診療で絶対やらないような処方の手を打ってはいけない。治験ならまだしも。臨床研究は患者さんが医療費を払うのだから。

限度額制度は年々基準が厳しくなるし、BIO製剤は年々価格が安価になる。結構設定限度額には引っかからないのだ。どうしても治療に必要なら当院も限度額制度を利用しながら生物学的製剤もやむなしだと思うが、ACRやEULARガイドラインで、たった1か月以内でそんな攻めた治療をしろと提唱しているか?していないだろ。

関節リウマチ患者を5年10年と長く対応をすると、ぶつかる壁の一つに肝機能障害をはじめとする薬の副作用というものがある。だからこそ治療はなるべくシンプルにまとめるのに越したことはないのだ。

後、世の中の全く分かっていない人達に言いたい。大学病院だから、大きな病院の部長だから、臨床が上手い訳ではないのよ。開業医だから大病院より医療技術が舌ではないのよ。25年前から合併症のない関節リウマチで入院はまずないのよ。重症ならちゃんと相応しい施設に紹介します。私はリスクを抱え込んだり、リスク判定が出来ない医師では有りません!J大にも何人も紹介しております。

因みに加算は大病院と比較して、クリニックのほうが取れない加算が多いのでクリニックのほうが通院コストはお得です。うちは東京女子医大の外来スキルで仕事をしているのだから、本当にお得なんだけどなあ、とぼやいてみた。ボヤキが多くてごめんなさい。

院長でした。

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